三味線日和

津軽三味線教室【珠の音会】会主澤田成珠(さわだなるみ)のブログです。

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ふたたびの墨外展 先月6月18日に銀座にある「若山美術館」の『ふたたびの墨外展』で津軽三味線のライブを行いました。
 今回の企画は、東北関東大震災を受け、沢山の方が亡くなり、また被災されたことを想い、私たちに出来ること。”祈り”をテーマに行いました。その一環の中で津軽三味線を演奏させていただきました。沢山の方にお越しいただき、義援金にもご協力いただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
 
 さて、田中墨外さんとはどんな絵を描く人か。この方は、きり金という仏像などに細く切った金を貼る技法を持った方で、彼の描いた仏画には、この技法が駆使されています。和蝋燭を灯すと、きらきらと優しく輝き、美しい光となり仏様が浮かび上がります。

 密教美術の作品 に囲まれながらの演奏は、今、流行りのパワースポットのような空間でした。

 演奏中、和蝋燭の炎が三味線の音圧を受け、大きく伸びたり、縮んだりするのがとてもきれいで、また舞台側から見ても、作品の数々が美しく輝いていていました。蝋燭での自然の明かりの中で見る金の輝きは、蛍光灯の下で見るものとは全く違う印象を受けました。
 本来、美術品である為、保存の観点からも、また、建物の消防法からも、蝋燭で見ることなど決してできないことなのですが、所蔵されている遺族の方のご好意と美術館側が環境活動の一環としてトウキョウミルキーウェイという、電気を消して夜空を見ようという企画に参加したことで実現しました。
 津軽三味線は古くは目の不自由な方が生計を立てる ために門付芸人となり三味線を弾き、語り、唄いました。厳しい生活の中で伝承されてきた津軽三味線の音色は生きるうえでの喜びや悲しみが表現され、また人々の願いや祈りもきっと込められて演奏されていたものだと思います。
 震災で被災された多くの方が早く生活を取り戻せるよう、また、心の痛みが少しでも和らぐよう、心から願わずにいられません。そんな想いを込め演奏させていただきました。

 今回、集められた義援金は、福島にあるアクアマリン水族館に若山美術館の館長さんの手により直接7月15日に水族館に届けられました。この日、水族館は再オープンしました。
 多くの子供たち、また大人も水槽を泳ぎ回る海の生き物たちから元気をもらってほしいと願わずにはいられません。